桐朋学園小学校

桐朋だより

430人がそろうその日まで

11日と12日で、2・4・6年生が登校しました。3ヶ月ぶりの学校です。「大学通りって長くなりましたか。」と質問を受けましたが、もちろん距離は変わっていません。いつも当たり前のように歩いていた通学路も、あまりにも久しぶりだとその距離感が新鮮だったのかもしれません。

2年生は、新しい担任の先生とようやく会うことができました。友達とも一緒に過ごす時間をもつことができ、みや林や中庭で思い思いの時間を過ごしていました。生活科の授業で、ヒマワリの種も植えました。これからの生長が楽しみです。

4年生は、畑でようやくきゅうりの収穫ができました。大きなきゅうりを1人1本取って、家に持ち帰りました。どのようにして食べたのか、また来週にお話が聞けることを楽しみにしています。飼育小屋の動物たちが気になった人たちもいたかな。7月からの飼育当番よろしくお願いします。

6年生は、早速体育の授業がありました。40m全力疾走をする姿が、とても気持ち良さそうでした。友達と一緒になって体を動かすのは、やはり楽しいですね。6年生の教室に行ってみると、後ろに「次の18人へ」という伝言板が。分散登校期間中は、半分のクラスメイトと会うことができませんが、一つの工夫で直接会えないクラスメイトとのつながりをもつことができますね。

オンライン授業は、今日で全学年が終了となりました。来週からは全学年が交互に登校します。学校が賑やかさを少しずつ取り戻していきます。430人全員で集える日が待ち遠しいです。

桐の家で

昨日、一昨日と1・3・5年生がクラスの半分ずつ登校しました。3ヶ月ぶりに学校にみなさんの声が戻ってきて、人が集まってこその学校だなと改めて感じています。

1年生は、画面上でしか会ったことがないクラスメイトや先生と初対面を果たしました。緊張しながら教室に入る1年生を、担任の先生は名前を呼んで出迎えました。

3年生は、本館の教室で過ごす初めての1日。玄関の場所が変わり、階段を登って教室に行くときに、わくわくした気持ちになった人も多かったのではないでしょうか。今までよりも図書室が近くなり、久しぶりに学校の本を借りる人たちの姿も見られました。

5年生は、いよいよ高学年の仲間入り。クラス替えをして2ヶ月間オンライン授業をしてきましたが、ようやく教室で新しいクラスメイトや担任の先生に会うことができました。みや林やグラウンドでも久々に遊び、友達との時間の良さを改めて感じたことと思います。

明日からは、2、4、6年生が登校します。学校で過ごす時間を少しでも楽しんでもらえるように、私たち教員もみなさんのことを迎えます。

学校で待っています

2020年度が始まって2ヶ月あまり。学校の木々の緑も濃さを増し、日差しも強くなりました。写真は、小学校のグラウンドにある桑の木です。さあ、この木がどこにあるか、来週学校にみなさんが来たら、ぜひ探してみてください。

8日の月曜日から、分散登校ではありますがようやく学校を再開することができます。画面上でしか見られなかったみなさんの姿を、2年生以上は3ヶ月ぶりに、1年生は初めて見ることができます。クラスメイトとどんな話をしようか、次から次へと話したいことが湧き出てくるかもしれません。新しい担任の先生にも、聞きたいことがある人もいることでしょう。これだけ長い期間学校に小学生のみなさんが集まらなかったことは、私たち教員にとっても初めてのことです。久しぶりの再会を、存分に味わいたいと思います。

特別授業 サンゴとサンゴにすむ生きもの

「おうちから海に出かけませんか。」

この言葉にひかれて、参加を決めた人もいたのではないでしょうか。
5月29日に、秘密研究機関イノカのなおきんぐハカセから桐朋学園小学校に招待状が届きました。海の生きものたちの秘密を解き明かす特別授業を開いてくれるというのです。参加した小学生は、300人以上。一つの授業にこれだけ多くの人たちが参加できるというのは、オンラインならではなのかもしれません。

授業の最初は、5台のカメラでハカセ自慢の海を紹介。中には20年後には絶滅してしまうと言われているようなサンゴも見せてくれました。水槽の中を泳ぐフレームエンゼル、テバスズメダイなどの様々な魚についても、お話をいただきました。

授業のメインテーマは、「サンゴ」についてです。サンゴマスターになってほしいとのハカセからの思いに応える形で、小学生のみんなが5問のクイズに挑戦しました。「サンゴは動物でしょうか。それとも植物でしょうか。」「サンゴは生きるための栄養をどうやってとっているのでしょうか。」といったクイズに回答していく中でサンゴについての理解を深め、最終的に授業に参加したみんながサンゴマスターとして認められました。

20年後に絶滅してしまうと言われているようなサンゴもいる中で、サンゴをどのようにして守っていくか。ハカセからは最後に
「生きものをもっと好きになろう。できるところからやってみよう。」
とのメッセージがありました。私たちにできることから、始めていきましょう。

秘密研究機関イノカ(株式会社イノカ)のみなさん、すてきな時間をありがとうございました。

おたんじょう日おめでとう

2年生の生活科では、クラスメイトの一人ひとりが「かえがえのない存在」であることを共感し合う場として、毎年おたんじょう会を行っています。主役を迎えた子どもたちは、どんな8歳になりたいかを発表します。そして、主役の保護者の方もお招きし、赤ちゃんの頃のこと、名前の由来など、クラス全体の場でお話をしていただいています。

今年度は休校の状態が続いており、直接子どもたちが集まってお祝いすることができません。しかし、1組、2組ともに、今週オンラインで4月・5月生まれのクラスメイトの誕生日をお祝いしました。家の人たちからの話を聞き、まわりのクラスメイトから「そうだったんだあ」と声が聞かれる一方、主役の子本人も、思わず「へえ」と声を出してしまう場面も。今の自分にどうつながっているのかを知る機会にもなったようです。

2年生のおたんじょう会を経ると、その翌年から自然と子どもたちはお互いに「今日、誕生日だよね」と声をかけ合うようになります。オンラインであっても、お互いの誕生を祝う気持ちは変わらないはずです。
4、5月生まれのみなさん、8さいのたんじょう日おめでとう。

みんなの作品展㊽

桐朋学園小学校のみなさんが送ってくれた作品展を開催します。今回は第48回目です。
作品のタイトル、がんばったところ、作品に込めた思い、作り方なども合わせて紹介します。

1、「ポケモンのワンパチ」「りっぽウオ体」(3年生)
①ポケモンのワンパチを折りました。
ポイントは顔がかわいいところ、手に乗るところです。

②魚を折る時パーツの基本形、六個で作れます。
朝日小学生新聞5/21に載っていました。

2、「ガラポン」(4年生)
家で何回もガラガラしたいので、作ってみました。玉のサイズに合わせて、中の構造を考えたり、玉が一つずつ出るように工夫するのが大変でした。
(材料:段ボール・ガムテープ・フェルト・割りばし・木工用ボンド・ビー玉)

3、「電子工作キットの“チビ”」(5年生)
6足歩行ロボの電子工作キットを作りました。顔のところに赤外線センサーがついていて感知すると止まったりあとずさったりします。
ニッパーでたくさんの部品を切り離して作ります。脚の取り付けが細かくて、大変でした。
手のひらサイズでシャカシャカ動いてかわいいです。「チビ」という名前をつけました。

4、「フェルト工作のネコ」(1年生)
フェルトでネコをつくりました。ひげはリボンをボンドではりつけました。
ボタンをいとでぬいつけて、めにしました。
くちもいとでつけました。いとでぬいつけるところがむずかしかったです。

5、「無一郎」(5年生)
頑張ったところは目と髪の位置と大きさのバランスが難しかったです。

6、「ぞうさん」(1年生)
ボンドをぬって、色画用紙をはるところをがんばりました。
(材料:しんぶんし、セロテープ、ボンド、色画用紙、折り紙)

4月21日から始まった作品展。全部で48回にわたる、とても大きな作品展となりました。
子どもたちの発想の豊かさ、そして一人一人の作品に込められた思いなどを共有することのできる、とても豊かな場になったように思います。
たくさんの応募をいただき、誠にありがとうございました。

みんなの作品展㊼

桐朋学園小学校のみなさんが送ってくれた作品展を開催します。今回は第47回目です。
作品のタイトル、がんばったところ、作品に込めた思い、作り方なども合わせて紹介します。

1、「はなびらのこいのぼり」(2年生)
いえのちかくの林へ行くみちばたで、たくさんおちていたはなびらをひろいました。
ぜんぶばらのはなだってしりました。おばさんがいいよと出てきて、たくさんもらいました。
いえにかえってそのはなびらで、きょうだいといっしょにこいのぼりをつくりました。はなびらはうろこみたいだとおもったからです。
すきまがあいてたところをどうするかってところのバランスをくふうしました。しょうぶのはっぱをよこにおいたら、ほんとうにこいのぼりになってうれしいです。のこったはなびらは、いもうととはなちょうずにしました。

2、「デジタルアラーム時計」(5年生)
半田ごてをつかった電子工作をやりました。
1時間ごとにアラームが鳴るデジタル時計です。
初めて半田ごてにさわりました。
半田づけを間違えたところを修正するときに、
こてが熱くてちょっと怖かったです。

3、「龍王と竹鶴」(2年生)
画用紙に鉛筆だけで描きました。
龍王の方は、爪の表現がすごく難しかったです。尻尾の先も細かく描けました。
竹鶴は、羽を左右対象に描くところが難しかったです。
竹の様子を上手に表現できたと思います。

4、「ひかり(ステンドボックス)」(2年生)
作業時間 …4時間
ポイント …富士山の色と月の中のうさぎです。カッターを初めて使ったのが楽しくてむずかしかったです。手は切りませんでした。

5、「大樹」(2年生)

学校から届いたお手紙にあった俳句「囀りをこぼさず抱く大樹かな」を、イメージして描きました。

下書きをしてから、生き物を色鉛筆で塗り、メインの大樹はちぎり絵をしました。最後にクーピーで地面を塗りました。大樹の葉っぱの色や幹の色を工夫して色をたくさん使いました。糊が乾く前に折り紙を貼るのが大変でした。長い時間は掛かったけれどできた時はすごく嬉しかったです。いろいろな鳥や生き物がいます。

みんなの作品展㊻

桐朋学園小学校のみなさんが送ってくれた作品展を開催します。今回は第46回目です。
作品のタイトル、がんばったところ、作品に込めた思い、作り方なども合わせて紹介します。

1、「割り箸てっぽう、弓、球飛ばし」(5年生)
作るのも楽しいし、しゃてき、弓矢、球飛ばしなどで遊びたかったから作りました。
材料:割りばし、輪ゴム、せんたくバサミ、ペットボトルキャップ、ガムテープ、はさみ
作り方:割りばしをそれぞれの長さに切り輪ゴムでつなげていく。
   球飛ばしはせんたくバサミを2本の割りばしをトングの様に使い、ガムテープで割りばしを固定する。片方の先にペットボトルのキャップをつけそこにガムテープで作ったボールを入れて飛ばす。

2、「小さい折り紙・ツル」「ジグソーパズル」(5年生)
①暇なので、どれだけ小さいツルが作れるかやってみた。校章と大きさを比べてほしい
材料:折り紙
作り方:折り紙を1/32に切る。いっしょうけんめい折る。

②時間がたくさんあって、外出もできないので、近くにできた文ぼう具屋さんで見つけてやってみようと思いました。さいしょは自信がなかったので108ピースを買いましたが、2時間くらいでできてしまったので500ピースもやってみました。
材料:ジグソーパズル108ピース、500ピース

3、「母の日」(2年生)
母の日に、お父さんと☆プリン☆カーネーション☆ミサンガを作りました。
プリンはカラメルを入れると、コーヒーに見えますが、美味しくてお母さんも喜んでくれました。
材料 プリン☆卵 牛乳 砂糖 水
   カーネーション☆おり紙 えんぴつ
   ミサンガ☆ししゅう糸

4、「ラッコ」(1年生)
段ボールでラッコを作りました。段ボールカッターとハサミで切りました。
ラッコが好きな貝もあります。

みんなの作品展㊺

桐朋学園小学校のみなさんが送ってくれた作品展を開催します。今回は第45回目です。

作品のタイトル、がんばったところ、作品に込めた思い、作り方なども合わせて紹介します。

 

1、「お父さんどこにいるのメーター」(1年生)

お父さんが、「どこに行って、何時に帰ってくるのか」がわかるといいなぁ・・・と思って作りました。

・見てほしいところ:お父さんの頭の上の矢印。

・材料:色画用紙、紙皿、モール、割ピン、数字シール、サインペン、色鉛筆 等

・工夫したところ:お父さんが、それぞれの場所で留まるように、モールで段差をつけました。

2、「ミシン」「ぬいぐるみようマスク」(3年生)

①材料:方眼紙、ペットボトルのふた、色画用紙、爪楊枝、油性ペン

工夫したところ:スピードを変える所を工夫しました。

 

②材料:フェルト、白い糸

工夫した所:マスクを立体にしたところ

3、「お化けの館」「アパート」(2年生)

①一番頑張ったところは驚いている人です。作るのがとても難しかったので一番観て欲しいとおもっています。

(材料:折り紙 折り紙 はさみ)

 

②アパートを作るのが難しかったです。ピアノの楽譜を作るのが楽しかったです。アパートの倉庫が大きいところを見てください.

(材料:折り紙 画用紙 ストロー)

4、「スポンジと絵具のチョコ」(2年生)
作り方
①スポンジ(お母さんがお化粧で使うやつ)をすきな形にハサミできる
②木工用ボンドにすきな色の絵具をいれて、ようじで混ぜて、全体に塗る。
③ボンドに茶色の絵具を混ぜて、小さな袋に入れる。袋の角を切ってオシャレにすじをつける。
④すきな飾りを置いて付ける。

がんばったところ
②番が大変だった。きれいにぬれなくて難しかった。ようじの棒のところを使うときれいにぬれる。

5、「マスク入れ」「ストローモール」(5年生)
①コロナが流行っていて、マスクを持ち歩くので、お母さんと私の物をつくりました。
ミシンを使って作りました、裏地も付けました。細かい作業が大変でしたが、お母さんに喜んでもらえて良かったです。
材料:家にあったはぎれ
作り方:表布と裏布をサイズを測って切りアイロンではじをきれいに折り返して
ミシンでぬい合わせる。私の物にはワッペンをはりました。

②頭の中で考えながらどんな物ができるかな、と思い浮かべながら作りました。たこ糸をストローに通すところを頑張りました。形を良く見てほしいです。
材料:たこ糸、ストロー、はさみ
作り方:たこ糸を結構長く切る
   ストローを12本好きな長さに切る
   たこ糸の、真ん中くらいにストローを通す
   通したストローの両側にもストローを通して三角にしてかたむすびをする
   そして、また2本のたこ糸にそれぞれストローを通す
ダイヤ型とか考えながら形を作る

月曜朝礼 校長片岡先生の話⑪

【小学校のみなさんへ】

 みやばやしはもうすっかり夏の装いになりました。それもそのはず、5月の下旬と言えば、いつもの年ならもう桐朋祭が目の前に迫っている時期です。小学校のエリアを歩くと、あちこちに小さな白い花が咲いていることに気がつきます。特に、桐の庭の畑から池の周囲にかけてはにぎやかです。これはヒメジョオンの花ですね。

ヒメジョオンの花が咲くと、ちょうど一年前の月曜朝礼でお話ししたことを思い出します。このお話は、昨年5月28日朝、川崎市登戸駅で発生した痛ましい事件を受けたものでした。かつて日本の子どもたちは、外遊びのなかから多くのものを学んできました。おそろしい出来事が起きるたびに、外遊びどころか、学校に登校することすら足がすくむように感じられますが、子どもたちの生活を大切に見守っている数多くの大人の眼差しが、この国にはあったのです。

 新型コロナ感染症の勢いにかげりが見えてきました。今、東京では学校再開へのカウントダウンが進んでいます。学校再開となれば、朝夕の電車にも、3カ月ぶりに児童・生徒が戻って来ます。その時、子どもたちに向けられるのは、果たしてどのような眼差しでしょうか。「誰かに見守られた体験があるからこそ、誰かを見守る気持ちが身についていくのです。」

正門広場の、小さな円い丘のところに、可愛らしいピンク色の花が咲いていました。調べてみると、ユウゲショウ(夕化粧)という趣のある名前を持っていました。子どもたちには、道端にあるそんな小さな生命の一つひとつに感動できる、ゆたかな日々を過ごしてほしいと思っています。学校再開まで、もう少しの辛抱です。

片岡 哲郎

 

ユウゲショウの花

 

プレイバック月曜朝礼⑪

「道端の小さな生命を」(2019年6月3日)

 

 みなさん、おはようございます。6月に入ってから、街のあちこちでアジサイの花が日に日に紫色に色づき始めましたね。みなさん気がついていますか? それから、ビワの木の枝先で、ビワの実が色づいている様子もよく見かけますね。6年生が夏に訪れる岩井海岸のある千葉県南房総市は、実はビワの名産地として知られており、今の時期はビワ狩りの観光客で、かなりの賑わいを見せるそうです。

でも、子どもの目の高さは大人よりも低いので、みなさんはもっと地面に近いところの、ありふれた草花の一つひとつが目に入っているのではないでしょうか。例えば昨日の朝日新聞のコラム『天声人語』は、ヒメジョオンという花を紹介していました。日本の都市という都市が、アメリカ軍の空襲で焼け落ちた1945年6月、これは太平洋戦争が終わる2か月前ですが、日本政府は「夏の七草」というものを発表したそうです。家も焼かれ、食べ物もない市民が空腹をしのぐために口にしたのでしょう、アカザ、ツユクサ、シロツメクサとともに紹介されていたのがこのヒメジョオンでした。

ヒメジョオンは、空き地や道端で普通に見かける、マーガレットを小さくしたような白い花です。食べて美味しかったかどうかはともかく、繁殖力はとても強い花です。何しろ一株の花が47,000もの種子を作り、その種子一粒の寿命が35年と長いのです。雑草として扱われることの多い植物ですが、もともとは観賞用に北アメリカから持ち込まれました。気がついたら、可愛らしい花を見つめて下さい。

ヒメジョオンと同じように、道端でよく見られる小さな黄色いタンポポのような花があります。葉っぱもタンポポとよく似たギザギザです。こちらは、オニタビラコというキク科の雑草。どこにでもあるありふれた雑草ですが、その花の鮮やかな黄色は印象的です。先生の家の前にある公園には、ナガミヒナゲシという小さなケシの花があちこちに咲いています。地中海原産のこの花は、近年日本全国で爆発的に繁殖しています。都市部で多く繁殖しているのは、おそらく種子が車のタイヤに付着して運ばれるからだと考えられています。繁殖力の強さが心配されていますが、薄いオレンジ色の花びらはとてもはかなげで愛おしく感じられます。

5月31日の毎日新聞のコラム『余録』は、明治時代の初めに来日したドイツ人の学者の、こんな言葉を紹介していました。「日本の子どもは一日の大部分を街なかで過ごす。子どもは交通のことなど少しもかまわず遊びに没頭する。」当時の日本では、人力車や馬が遊びを邪魔せぬよう回り道をすることを子どもたちは知っていたのでしょう。「彼らは、大人からだいじにされるのに慣れている。」今の時代からはちょっと考えられない感想です。千葉大学の研究室が3,000人の小学生を調査したところ、その7割以上が「平日に外で遊ぶ日」を0日と答えたそうです。でも、本当は道沿いの小さな緑地にも、誰かの家の壁の上にも、今の季節ならではの小さな命の数々がその輝きを放っています。かつての日本の小学生は、外遊びを通して、実に多くのことを学んできたのです。

毎日新聞がなぜこの日、150年も前のドイツ人学者の感想を紹介したか、みなさんわかりますね。それはこの3日前に川崎市登戸駅付近で発生した、恐ろしく痛ましい事件を受けてのことでした。あまりに衝撃的な出来事ゆえに、外遊びどころか、学校に登校することすら恐ろしく感じられるのも今は当然です。でも、本当は明治の時代から今日に至るまで、子どもたちの生活を大切に見守っている数多くの大人が、この国にはいるのです。だからこそ、子どもたちは家の外に出て地域のなかで生活し、道端の名もない小さな生命を発見する力も、それを慈しむ心も身につけていったのです。

誰かに見守られた体験があるからこそ、誰かを見守る気持ちが身についていくのです。どうかそのことを忘れないで下さい。

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