月曜朝礼 校長片岡先生の話⑩
【小学校のみなさんへ】
5月11日、オンライン機器で一年生のご家庭と桐朋学園小学校の講堂を結ぶ形での「入学の日」の企画が実現しました。私は毎年4月の入学式で、ずっと“四つ葉のクローバー”の話をしてきましたが、無事今年の新入生のみなさんにも、それを見せることができました。
最初は、校長になる前の年、2008年の四年生野辺山高原学校にお手伝いでついていった際に、宿舎の五光牧場でたまたま見つけました。実は子供の頃からその時まで、四つ葉のクローバーを見つけた記憶など私にはありませんでした。だからその野辺山の出来事がとても鮮烈で、「入学式のお話」に決めたのです。今朝のお話は、野辺山高原学校が宿舎のご事情もあって翌年から西湖湖畔学校に変更される、その最後の野辺山でのお話です。
ちなみに、5年生の奥蓼科林間学校の宿舎、唐沢鉱泉でも四つ葉のクローバーはよく見つけることができます。私は、多い年には3泊4日の間に6つも見つけました。これはもしかしたら、隠れた“才能”だったのかも知れません。こんな時だからこそ、クローバーの力を信じることにしましょう。
片岡 哲郎
プレイバック月曜朝礼⑩
「四つ葉のクローバー」(2012年6月4日)
みなさん、おはようございます。6月に入り、お隣の桐朋中学・高等学校では土曜日から今日まで3日間の予定で、桐朋祭が賑やかに開催されています。土日は桐朋学園小学校のみなさんや、それから桐朋女子に進んだ卒業生のみなさんからも、たくさん声をかけて下さいました。
さて、4年生のみなさんは5月29日から4日間、野辺山高原学校に行ってきましたね。天候もまずまずで、楽しく過ごせたと思います。先生も5月30日の夕方から31日のお昼まで、野辺山におじゃましました。わずかな時間でしたがみなさんといろいろおしゃべりしたり、スケッチを見せ合ったりすることが出来て、うれしかったです。
野辺山といえば、四つ葉のクローバー。先生が四月の入学式のときに必ずお話しすることですが、野辺山の五光牧場には四つ葉のクローバーがたくさんあります。4年生のみなさんはいくつ見つけましたか?先生は、みなさんが朝の体操をしているわずか2~3分の間、地面を見つめるだけでこの2枚を見つけることが出来ました。
クローバーは、日本語では白い詰める草と書いて「シロツメクサ」と言います。江戸時代にオランダからめずらしいガラスの器が送られて来た時、ガラスがこわれないように箱の中には草が詰められていたのですが、その草の中から発芽したので、シロツメクサと言うのだという説があります。もともとヨーロッパでは牧草として栽培されていたもので、日本では北海道でオランダから牧草用に輸入したのが最初だとも言われています。
基本的には三つ葉なのですが、なぜ四つ葉のクローバーが生まれるのでしょうか。それは、葉っぱが育つ成長点という部分が傷つけられたことによって生まれるのだと言います。つまり、一種の奇形ですね。公園や道端など、よく踏みつけられる場所で比較的見つけられるのは、このためです。成長点を針などで刺激することによって、人工的に四つ葉のクローバーを作ることもできるようです。
クローバーの三つ葉は「希望」「信仰」「愛情」の印とされています。これはキリスト教というヨーロッパの宗教で大切にされている三つの言葉です。四つ葉のクローバーの場合は、その三つの言葉に「幸福」が加わる、つまり「幸福」のシンボルとなるわけです。四つ葉のクローバーを見つけた人には幸運が訪れる、という言い伝えはヨーロッパに古くからありました。フランスの皇帝となった英雄ナポレオンは有名ですが、彼が馬に乗って戦場で戦っていた時に、偶然四つ葉のクローバーを見つけて、体を伏せた瞬間に銃弾が身体をかすめて命が救われたというエピソードも残っています。
でもみなさん、上には上があるものです。2002年に、岩手県花巻市に住むクローバーの研究者小原繁雄さんが鉢植えのクローバーの中に18枚葉のものを見つけ、これが世界一多くの葉を持つクローバーとしてギネスブックに登録されました。しかし、2008年には小原さんとその家族によって21枚葉や27枚葉のものが発見され、ついに2009年5月3日に33枚のクローバーを発見した小原さんはもう一度、ギネス登録のための準備を行っていたのですが、その1週間後の5月10日には、なんと56枚の葉を持つクローバーが発見されたのです。これが現在、最も多い記録となっています。
この56枚葉のクローバーを写真で見ると、三つ葉のクローバーが幾重にも重なり合っていて、ちょうど紫陽花の蕚のような感じでした。それにしてもこの小原さん、56枚葉のクローバーを見つけるのですから、きっとものすごく幸せ者なんでしょうね。
写真左:最後の五光牧場(スケッチ) 写真右:2018年、奥蓼科にて