桐朋だより

四つ葉のクローバー

用事があって高校の校舎に行った帰り、校舎わきの外通路のかたわらにしゃがみ込んでいる3人の高校生を見かけました。

「何かあったの?」

話しかけると、ひとりの男の子が振り返って答えてくれました。

「四つ葉のクローバーを探しているんです。」

「え?ここに四つ葉のクローバーがあるの?」

校舎と中学高校のグラウンドに挟まれた通路に沿ったちょっとした土のところです。

「ぼくらも見つけたことはなくて…でもこうしてクローバーが生えているから。」

言われて視線を落としてみると、たしかにクローバーが生えています。

私もいっしょに腰をかがめて探したくなりましたが、次の用事がありました。

小学校に戻らなくてはなりません。

「見つけたら教えて。ぼくも探してみるから。大切な人に渡したいから。」

少しかっこうをつけて、そう告げて小学校のほうに歩いていきました。

 

1分も経っていなかったと思います。

みやばやしを歩いていると後ろから声が

「ありました!四つ葉のクローバー、ありました!」

振り返るとさっきの高校生です。

手には小さなクローバー。よく見ればたしかに四つ葉です。

「すごいじゃん!本当にあったんだ。」

「これ、あげます。」

「ええ?いいの?」

「ええ、大切な人にあげてください。」

にっこり笑ってその言葉。なんて素敵な青年でしょう。優しさを受け取ることにしました。

 

かっこうをつけて「大切な人」なんて言ってしまったので、大切な人を思い浮かべました。

みんなのことが浮かびました。

みんなにささげるつもりで教員室にかざることにしました。

あまりのさわやかさに驚き、名前を聞くことを忘れてしまいました。

あのときの彼、どうもありがとう。とてもうれしかったです。

 

今日から3連休です。

そして、そのすぐあとから入試期間となり、次にみんなに会えるのはしばらく先になります。

会えない間も四つ葉のクローバーの幸運がみんなに降り注ぎますように。