桐朋だより

好奇心の翼 自由研究発表会 始業式・原口校長講和

「おお!」

教室にどよめきが起きます。

2学期2日目、多くの教室で夏の自由研究の成果を発表する機会が設けられていました。

みんなの好奇心の翼がはためいたその先に、それぞれの自由研究があると思うと、ひとつずつの作品に胸が高鳴ります。

明日から学校では4日間、自由研究作品展が始まります。

3年生以上の力作が、ホールに一堂に会します。

保護者のみなさま、ぜひ足をお運びください。

 

 

さて、次に始業式での原口校長先生の話を紹介したいと思います。

原口先生は、夏休みに見た「ドクターカキゾエ 歩く処方箋~みちのく潮風トレイルを往く~」という映画を紹介してくださいました。

この映画は82歳のお医者さんである垣添ドクターが東北地方の太平洋岸、三陸を貫く1,000キロあまりの道を歩きながら旅をし、人々と交流を重ねる姿を描いた作品だそうです。

垣添ドクターは桐朋高校の卒業生だそうです。

原口先生のお話の最後の部分を載せたいと思います。

 

 

みちのく潮風トレイルで垣添さんが改めて感じ、確信したこと。それは、ガンでも震災でも、人は逆境に立たされても、必ず復活する力を持っているという思い。

そして、その支えとなるのが希望です。

「人はどんなにわずかでも、希望があればがんばれる。希望があれば、自分が思っている以上の大きな成果を達成するんだ」。垣添さん、こう確信します。

垣添さんも多くの方と出会い、その出会いに力をもらって希望を見出し、82歳という年齢で歩ききるという大きな成果を達成します。

垣添さん、みちのく潮風トレイルで「希望」ということばとも出会います。

岩手県大槌町にある東京大学の研究所。所長さんが説明するスライドに、英語でこう書かれていました。

“Hope is a wish for something to come true by action.”訳すと、「『希望』とは、具体的な『何か』を『行動』によって『実現』しようとする『願い』である」。東京大学の先生たちが研究している希望学。そのキー・フレーズが先ほど紹介したことばです。

研究の中心を担うのが、玄田有史先生。玄田先生は、どうしたら希望が持てるかをテーマに、仲間と研究を続けています。

研究対象の一つが東日本大震災の被災地。岩手県の釜石などで被災者と交流しています。このつながりによって、垣添さんは希望学と出会い、映画の最後で玄田先生に会いに行って、玄田先生の話に深く共感しました。

玄田先生は、こう話しました。

「以前私は、トンネルの先に光が見えてくるのが、希望だと考えていたんです。でも、東日本大震災を経て、それって不十分だし、違うかもしれない。そう感じて、考えを変えました。暗やみの中でつまずいたり、ゆれ動き迷ったりしながら、それでも、手すりとか手とかも使って、前に半歩ずつでも進んでいる手応え、感触が、希望なんじゃないか。そう考えるようになったのです」

希望とは、自分が望む方向に少しずつでも進んでいる手応えにあるんだ。垣添さん、こう確信します。

歩くのってまさに、この希望の意味にピッタリですよね。

さあ、今日から2学期。みなさん一人ひとりが、勉強で、さらには自分の頑張りたいことで、確実に前へと進んでいる。そんな2学期にしていきたいですね。

時に、壁にぶつかったり、思わぬ落とし穴に落ちたりしても、くじけずへこたれず、ひたすら歩いていく。その力となるのが、希望です。

今はまだ頼りない希望だとしても、手応えを感じながら希望を頼りにし、力にして、一歩一歩、歩みを進めていってくださいね。

良い2学期にしていきましょう。これで今日の話を終わります。