「さあ、登ろう 挑戦だ」
部屋を出たところに、みんなへ向けた担任の先生からのメッセージが書かれていました。
いよいよ天狗岳登山の朝を迎えました。
朝は素早く準備を終え、7時前にはお宿の玄関の前に集合しました。
山の朝早くは、夏の盛りとは思えないほど涼しく、みんな長袖を羽織っていました。
その涼しさのせいか、はたまた緊張のせいか、身が引き締まります。
そして出発。
長い道のりの始まりです。
歩き始めて30分も経つと体があつくなってきます。
多くの子どもが長袖を脱ぎ、半袖になりました。
苔むした岩がごろごろとする唐沢を歩きます。
曇り空から差し込む光が緑の森を照らします。
登り坂は決して簡単な道のりではありませんが、ゆうべガイドさんに教えてもらった歩き方を思い出し、一歩一歩足を踏み出します。
やがて、空が近くなってきたと思うと、中腹の黒百合平に着きました。
そこで少し長めの休憩をとります。
持ってきた栄養ゼリーを口にすると、体にしみわたっていくような気がしました。
黒百合平を出てしばらく歩くと、その先には急登です。
なんとか登りきり、その先の難所の岩場を過ぎると、そこには別世界が広がっていました。
これまでの遠足でいくつもの山を登ってきました。
それでも、そこにはこれまで見たことのない初めての風景が広がっていたのです。
高い木はもう生えていません。
何にもさえぎられない生まれたままの風が体を通り抜けていきます。
遠くの山々の緑まで一望できます。
ふと振り返ると、さっきまでいたはずの黒百合平の山小屋の屋根がはるか向こうの下のほうに見えます。
こんなに遠くに、こんなに高いところまで、足が自分を運んできたのです。
目指す先には天狗の鼻のような岩があり、その向こうが頂上です。
みんなで登頂することができました。
2640m、東天狗だけの山頂に立ったのです。
どんな気持ちだったでしょうか。
山から下りるとすぐにお風呂。
山を登ったそのときにしか味わえない、とっておきのお風呂です。
「はあーーーーあ」
お湯につかると、深いため息が達成感とともに腹の底からもれてきました。
炎がたくさんの笑顔を照らすキャンプファイアーを終えると、就寝です。
みんなどんな夢を見たのかな。
にぎやかだった2日目の朝が嘘のように静かに寝静まった4日目の朝です。
お世話になった唐沢鉱泉をあとにして、途中でたくさんの縄文土器が出土した尖石遺跡にある考古館によります。
ここでは縄文土器をスケッチします。
2学期はこのスケッチをアイデアのもととして、縄文土器づくりに挑みます。
「挑戦とは新しい自分に出会うこと」
ガイドさんの言葉が浮かびます。
みんなはこの奥蓼科林間学校で、新しい自分に会えたでしょうか。
唐沢鉱泉にたくさん飾られていたスターチス。
花言葉は「忘れられない思い」。
みんなそれぞれ、きっと忘れられない思いを抱いたのではないでしょうか。





























