2640メートルへの挑戦 5年生 奥蓼科林間学校②
この日は5時半に起床です。
寝ぼけ眼をこすりながら体を起こすと、窓の向こうから鳥のさえずりが聞こえてきます。
山の朝です。快晴とはいきませんでしたが、雨は降っていません。
宿の方が用意してくださったお昼ご飯をザックに詰め、準備体操を終えたら、出発です。
前日までの雨のせいで、山道に転がる岩が濡れ、すべりやすくなっていたので、慎重に足を置いていきます。
緑の木々や岩につく苔が、朝もやの向こうに浮かび上がっていて、とても幻想的です。
出発から3時間近く歩いて、ようやく中腹の山小屋につきました。
標高は2000メートルを越えました。
途中、岩場がありました。両手も使って、へばりつくように登っていきます。
岩場のてっぺんに立つと、周りの景色が がらっと変わりました。
私たちを囲んでいた背の高い木々はもうありません。
視線をあげてあたりを見渡すと、空と雲しか目に入ってきません。
目の前の分厚い雲が風に流されて、ほんのひと時向こうの山の峰が見えました。
雲を突き抜けるようなその姿に、驚きのため息が聞こえてきます。
自分の足で登ってきたからこそ見えた風景です。
登山が得意な子もいれば、そうでない子もいます。
「がんばろう。待っているから大丈夫だよ。」
友だちにそんな声をかける子も。
「だんだんと登るコツみたいなの、分かってきた。」
うれしそうな顔。
「もう限界だよ。疲れた。」
「いっしょに登ろうよ。ここまでがんばったんだから、頂上まで行こうよ。」
「うん。ありがとう!」
昨日のガイドの方の言葉が思い出されます。
頂上に着きました。
この時の気持ちはぜひ、5年生本人に聞いてみてください。
標高2640メートルの山頂で、子どもたちの「エーデルワイス」の歌声が清廉に響きました。(7月27日)